石鹸の性質

洗浄力の正体は泡の存在だった

石鹸と合成洗剤が汚れを落とす成分の違いによって分類されている、というのは「石鹸の定義」で紹介しました。
では、汚れ落とす成分が石鹸であることによって、どのような違いがあるのでしょうか?
石鹸、つまり脂肪酸ナトリウム・脂肪酸カリウムという物質の洗浄力にはいくつかの特徴的な性質が存在しています。
その中でも大きな特徴の1つであるのが「泡」の存在です。

合成洗剤のなかには、泡があまり立たないタイプの洗剤というのもあります。
しかし、石鹸の場合には泡が立つものになっています。
この「泡」の存在が石鹸の洗浄力にとって重要な役割をなしている、ということです。
裏を返せば「泡」がなければ洗浄力がないのが石鹸の特徴、ということになります。

これを元にして、石鹸タイプの洗剤を利用する場合の注意点を紹介します。
洗い方次第で洗浄力が大きく変わってしまうのが石鹸であるため、使用法をしっかり把握し、最も高い効果を得られるように使用しましょう。

石鹸の注意点

上述の通り、石鹸は泡がなければ洗浄力が発揮されません。
そのため、石鹸の利用法における注意点として第一に紹介するのは「泡が立ちにくくなる使い方を避ける」ということです。
石鹸は使用されている量によって泡立ち具合が大きく変わります。
水の量に対して石鹸の量が少なすぎると十分な泡が立たず、洗浄力が発揮されません。

食器洗いの場合や洗濯の場合、あるいは手洗いの場合にも同様で、石鹸が立たない場合には量が足りないということがほとんどです。
使用量を改めるだけで泡立ちが良くなり、洗浄力が高まることになります。
せっかく本来なら高い洗浄力を持っている石鹸を効果的に利用できないのはもったいないでしょう。

最近よくあるのが「エコ」のために利用量を抑えてしまう、ということです。
そうすることによって汚れが落ちなくなってしまえば本末転倒であるため、十分な量を利用しましょう。
また、石鹸によっては泡立ちがし易い水の温度にも違いがあります。
適切な温度の水を使い、しっかりとかき混ぜるようにして泡立ててから洗浄に使いましょう。

さらに、石鹸は洗浄力を使うと段々泡が弱くなっていきます。
洗っている途中で泡立ちが悪くなった場合には洗浄力が落ちてきている証拠であるため、石鹸を追加するようにしましょう。
ちなみに、日本ではあまり心配はありませんが、使っている水のミネラル分が高いと泡立ちが悪くなることがあります。
ヨーロッパのように硬水(ミネラル分の多い水)が水道から出る場所で利用する場合には泡立ちにくくなることが有るため注意しましょう。

次に紹介するのは「ペーハーによる洗浄力」についてです。
石鹸の泡が洗浄力を発揮するのは、この泡が「塩基性(アルカリ性)」であることが重要になっています。
そのため、洗浄の対象となっているものが「酸性」のものである場合、強く中和されてしまうために洗浄力が低下しやすくなります。

例えば食器用洗剤の場合、マヨネーズやケチャップのような酸性の強いものを洗うと一気に洗浄力が低下することがあります。
そのため、こういったものが付いている食器を洗う場合にはまず水に浸したり流したりするなどして分量を減らしておくと良いでしょう。
そうすることで、石鹸の洗浄力を長く発揮できるようになります。
中には酸性の汚れを取る補助になる成分「アルカリ助剤」が含まれている石鹸もあります。

最後に、食器洗い石鹸を利用する場合の注意点として「溜めすすぎはいけない」ことを紹介します。
食器類をためてそこに石鹸を使い、一気にすすぐという方法ですが、これではせっかくの石鹸の洗浄力が上手く発揮されません。
石鹸の成分が汚れに負けてしまい、ためている水が汚れていく、ということでいつまでたっても汚れが取れないスパイラルに突入してしまいます。
水がもったいない、と感じるかも知れませんが、食器洗い用石鹸を利用する場合には流しすすぎを心掛けるようにしましょう。